日本の3大メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)の2025年3月期決算が公表され、三社合計の純利益が過去最高となる3兆9263億円となったそうです。国内金利の上昇により、貯金金利と貸出金利の差が広がったことが要因であるそうです。来期もさらに業績アップを見込んでいるようです。

 トヨタに至っては、2025年3月期の純利益は4兆5千億円と2024年3月期の4兆9千億円より減少したとは言え、かなりの高額となっています。2026年3月期は、米国の関税増加により35%減少を予想していますが、それでもかなりの高額であると思います。ソニーも過去最高の利益をあげているようです。

 これだけ多くの金を稼ぐ会社が存在するのに、どうして多くの国民の生活は苦しいのでしょうか。

 得られた純利益から見込める剰余金の中から株主配当金が支払われますが、このような好業績が続いていますので、これらの大企業には莫大なお金が内部留保として蓄えられていると見込まれます。

 昨今、大企業の賃上げ、賞与も高水準ではありますが、内部留保と比べ、まだまだ少ないレベルと言わざるを得ません。ましてや、中小企業に大企業の高収益の恩恵がどれだけ波及しているのでしょうか。そういうことを言いますと、企業側は、将来の不確定なリスクに対応するには、多くの蓄えが必要なのだと応えるのが常のようです。

 しかし、そんな予想もつかないリスクを前提にしますと、いつまで経っても内部の蓄えは減らないと思います。蓄えが多いほど安心出来るというのは一見正しそうですが、私はそうは思いません。経営者というものは、いかにお金を有効に使うかということに優れていなければならないのです。つまり、内部留保を増やして安心するなどと言う誰が考えても出来ることで満足するようであれば、経営者としては失格だと思うのです。無能だと言ってもいいかもしれません。蓄えて来た金をどのように有効に使うかで、その経営者の能力が測られるべきであって、それが出来ないで、のうのうと蓄えの金の上で胡坐をかいているのであれば、さっさと役を辞した方がいいと思います。

 このような企業が多いことも、日本の経済が潤わない要因であると思うのです。儲けた金で、将来の為の投資をし、従業員に還元し、さらには社会に還元することで、社会全体を潤わすようにしなければならないのです。経営者や幹部などの一部の人間達が法外な報酬を得ているだけでは駄目なのです。

 経営とはリスク管理をうまくしながら、現業の無駄を潰し、改善し、さらには新しい事業を創っていくことだと思います。そのことにより、ステークホルダーと言われる、従業員、関係会社、顧客、株主、社会を豊かにしなければならないのです。

 多くの大企業と言われる会社がそのような経営をすれば、日本社会はここまで貧しくはなっていないと思います。

 自分達だけは豊かな生活に安住していて、それを維持することに努めているだけでは、結局社会全体では貧しい層が増えて行き、それによって消費力は停滞し、結局は企業の業績に重く圧し掛かっていくのです。その悪循環が今の日本を作ったのです。

 経営者、企業幹部(もちろん政治家、官僚幹部も同じ穴のムジナです)がこの自分本位な現状を反省し、真に社会全体を良くすることに目標を定め、注力していけば、きっともっと豊かな社会が築かれるのだと思います。

投稿者

弱虫語り部

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