政府が自分達の落ち度を隠す為に進める政策が二つあります。ひとつは共働きを標準家庭のスタイルにすること、もうひとつは、国民が各自で老後の生活資金を確保する為に投資を勧めることです。

 一番目の点については、男女平等という大義名分を理由にしていますが、本当は、標準的な国民の稼ぎでは家庭の生活を賄えないほど低収入になってしまっている現実を隠したいから、女性も社会に出られるようにしましょうと言っているのです。本当は、国民の生活がどんどん低水準になっているので、夫婦とも働いて何とか生きながらえてくださいと言うのが本音なのです。このようになったのは、政府の政策による結果なのです。大企業が景気の波に晒されても経営しやすいように、非正規社員を増やすことが出来るような政策を作りました。その結果、資本家、経営者や大企業の幹部はさらに裕福になって行きましたが、非正規社員が非常に増えた一般の国民との貧富の格差が拡がっていくことになり、貧困層はもちろん増え、平均的な人達も生活に窮するような社会になってしまったのです。

 ですから、実態は、積極的に女性が社会進出したいから共働きをしているという世帯は少数で、実は夫婦で働かなければ生活が成り立たないから、止む無く共働きしている家庭が多数なのです。本来は、一般的な国民でも十分な報酬が得られるような社会であれば、共働きをするのも、ひとつのライフスタイルとしての選択肢のひとつとして考えられるような多様性を担保するような状況を作ることが重要なのですが、その為の条件として、国民がある程度豊かな生活が出来るような社会には全く出来ていないのです。貧富の格差は拡がる一方で、喜んでいるのは一部の特権階級、富裕層だけなのです。

 二番目の点についても、政府が国民の年金問題を解決して、一般的な国民でも安心して老後を送れるようにしなければならないのですが、それが出来ないので、国民に自己責任で、老後の為の資産形成をしなさいと言っているのです。また、裏では、株価を上げたい為に、国民のお金を市場に投入させたいとも思っているのです。

 私は投資というものは非常に難しいものだと認識しています。その道のプロでも失敗するような不確定な運用方法だと思っています。政府や金融機関は安全な商品であるというような誤解を与えかねないようなピーアールをしていますが、例えば世界同時不況、株安にでもなれば、どんなに安全に分散投資しようが、元本割れが簡単に起こる世界なのです。老後資金の為なので、長期に運用しなければならないので、その間に、そのようなリスクが起こらないとは言えないと思います。もし、政府がそんなリスクは無いと言いたいのなら、政府が年金を今より大量に運用したり、国民のお金を集めて政府の責任で投資すればいいのです。個別に国民がやるより、専門家を駆使して出来る訳ですから、確実に増やせる筈です。どうしてそれをやらないのかと言うと、リスクがあることを承知しているからなのです。そして、そのリスクが起こったときに責任をとりたくない、とれないからなのです。

 結局、この二点を見るだけでも、政府の無策さ、そして政治の無能さのツケを国民に払わすことしか考えていないことが明白なのです。