酷暑が続く日本列島で、連日、刃物を振り回して人を死傷させる事件が多発しています。無差別に通りがかりの人を襲うケースもあり、金品目当てで強盗に入ったケースもあり、電車内で揉め事の末に凶行に及んだケース、何らかの恨みで殺意を実行したケースなど多数の殺傷事件が報道されています。
犯行に至る経緯はそれぞれだと思いますが、共通するのは、人を殺そうと犯行を実行したことです。そのことで、物事が解決する訳ではないのは明確なのですが、そのような理性が働かなかったのでしょう。そして、その事件により、自分がどのようなことになるのか、もっと重要なのは、刺されて殺されたり、傷を負ったりした相手は、どうなるのか、その人の人生が終わったり、ぶち壊されたりすることを想像出来なかったのでしょう。
もちろん、最も非難されるべきは、このような行動を起こした犯人であることは間違いありませんが、他人の痛みを理解出来るような心を持てなかったのはどうしてなのかを考えないといけないと思います。犯人に罰を与えるだけでは、決して解決する問題ではありませんし、これから同様の犯罪を阻止出来る訳ではありません。今後、少しでもこのような事件を減らす為には、幼少期からの人の育て方を考え直すしかありません。
このブログでは、大まかな人間のタイプを三つに分けて、人間の行動を理解しようと努めて来ました(詳細は、「3. 非常におおまかだが、本質的なひとの分類」、「648. 人間の分類に関する新考察」を参照してください)。生まれつき、自分より他人を大事にすることが出来るAEタイプや、生まれつき自分の欲望を達成する為には他人を貶めたり、傷つけたりすることも厭わないDEタイプは育った環境や育て方には左右されないかもしれませんが、大多数のWEタイプの行動性向はどう育てられたかに大きく影響を受けるものだと思っています。
今回のような事件を起こすのがDEタイプであるとすれば話は単純なのですが、どうもWEタイプの人間が多く犯行に関わっているように感じています。DEタイプは悪る賢いので、このような捕まり易い犯罪は起こさないと思います。
ということで、多くのWEタイプの人間を対象にして、如何に他人の痛みを分かるような人間に育てることが重要だと思います。
これこそ教育のひとつの重要な要素だと思うのですが、今の日本の教育は受験をメインに置いた体系が整っており、基本的な人間性を育むような内容にはなっていません。また、学校だけではこの問題を解決出来る訳でもありません。家庭環境をどう作って行くかも非常に重要なのです。その為には、この場合でも、経済的な格差の問題を放置は出来ません。もちろん、経済的に豊かであればいいと言う訳ではありません。経済的に豊かでかつ、両親などがきちんと愛情深く子供を育むことが必要なのです。
自分の親が荒んだ生活をして、食べていくのも精一杯であり、ときには犯罪に手を染めているようであれば、とても他人の痛みを感じるどころではありません。
今日の犯罪は、社会の状況を映す鏡でもあるのです。そういう意味でも、政治が非常に大切なのです。経済的な格差問題、他人の痛みを理解出来る人間を育てる教育問題に対処するのは政治の重要テーマなのです。私利私欲で議員になっている人間が多くいるような政治の世界では、そのような社会の実現はかなり難しいと言えると思います。