世界中で、自由主義経済、資本主義システムが拡がっています。しかし、政治的には、民主主義だけでは無く、社会主義も一部に見られますが、社会主義経済システムそのものは破綻し、社会主義を標榜する国も、経済的にはある程度の自由経済を取り入れていると言っていいのではないでしょうか。経済の世界では、グローバルな経済圏が形成されていると言っていいのではないでしょうか。
しかし、今の自由主義経済には、大きな問題が潜んでいます。自由主義経済の今のルールでは、富める者はより富み、富まざる者はより貧困になっていく、つまり格差が拡がって行くばかりだからです。
だからと言って、共産主義、社会主義経済がいいとは思いません。それは、政治形態としては、社会主義、共産主義を標榜するロシアや中国もグローバルに見れば、社会主義経済を捨てて、今は自由主義経済圏の一員となっていると言っても過言ではないからです。
事実として、ロシアにも中国にも超富裕層は存在し国民全体の中の貧富の格差は益々拡がっているのが実態なのです。
自由経済主義においては、自分自身の才覚で、アメリカンドリームを叶えて、貧困層から富裕層に成りあがる自由は存在するから、それでいいと言われる人もおられます。つまり、競争社会としてちゃんと機能しているから、共産主義、社会主義を含む世界全体に、今の資本主義、自由経済主義が拡がったのであって、自分が豊かかそうでないかは、自分自身の才能と努力の結果であり、そういう意味で、自己責任の賜物であると考えている人も多くおられるようです。
しかし、そのような一見公平な競争に裏打ちされているように見える世界も、実際は生まれついた環境で、決して公平ではない競争の社会を逃れられない人間が多数存在するのが事実です。そして、一番問題なのは、歴史的に振り返りますと、貧富の格差が拡がり、多くの人間が貧困に喘ぐような社会が、戦争を生んで来ていることです。
例えば、第二次世界大戦を中心的に進めることになったドイツのことを考えてみましょう。ドイツは第一次世界大戦の敗戦がきっかけで、当時としては珍しい成人男女の普通選挙に基づく議会などを定めたワイマール憲法を擁する国に生まれ変わったのです。しかし、そのような民主主義の自由を謳歌出来る期間は短く、戦争賠償や、米国に依存する経済が破綻することにより、民衆は民主主義より、ヒトラーが主張する独裁的なやり方によるユダヤ人の排除、他国への侵略による経済の立て直しを望んだのでした。結局はまた戦争へと突入して行ったのでした。日本でも大正時代には、大正デモクラシーと呼ばれた一時期がありました。公民権運動が起こり、男子成人の選挙権が認められ、労働者を守ろうとする労働運動も起こった時代の始まりでした。しかし、それらの活動では、国民の暮らしは良くならず、経済の不調が続く間に、軍国主義が勢いを増して、結局、日中戦争、太平洋戦争へと突入してしまったのです。
このような例を見ていますと、これまでの民主主義は庶民の活動が拡がっては行っても、貧富の格差を拡げることに手を打たなければ、国民生活が困窮する方向に社会は流され、そのような状況に、軍事的な活動を主張する政権が支持されて、他国を侵略するような戦争に突入していくことになったのでした。
現在でも、日本やその他の民主主義国家も自由経済による貧富の格差は拡がるばかりで、このままその状態を放置すれば、また軍事的手段による問題解決を善しとするようなリーダーや政党が現れ、国民も盲目的に彼らを支持してしまうことも可能性がゼロではありません。貧乏になれば、どんな手段に頼っても生活を守りたいと考える人間もどうしても多くなってしまうからです。今の日本で、そのようなことを主張するものはあまりいないと思いますが、その代わりに、開発を進展させ、経済を伸ばすことで、国民全体を豊かにするというようなことを主張する政治家がほとんどです。しかし、それには時間も金も非常にかかりますし、絶対に成功するとも言えないのです。そのようなことを長期的に計画することは重要ですが、それまで大した手を打たなければ、庶民の生活がすぐには良くなることはありません。そこに戦争も善しとするような悪魔の誘惑が上手く付け込んで来ることもあるのです。歴史がそれを物語っているのです。
私はこのブログで、幸せのベースは平和であることが非常に重要であると主張しています。且つ、多くの人達がある程度豊かに生活することも重要なのです。この両方を叶えるには、国民全体が協力して、助け合って暮らして行くことがその答えなのです。その為には、今のような非常に大きい貧困の格差を放置させていく訳にはいかないのです。今の自由主義経済、資本主義経済に対して、ある程度の歯止めを加えるべきです。つまり、豊かな大企業や富裕層が今よりもっと多くの社会支援をするようなシステムを作らないといけないのです。このような共生主義でしか、即効性のある国民生活の立て直しの方法はありません。新ハルモニア主義の目指す、政治、経済、教育のシステムは、そのような考え方から構築しています。是非、一度、目を通してみてください。(このブログの1.から15.に記載しています)