首班指名を獲得する為に、連立政権に向かって、各党の動きが慌ただしくなっています。その中で、国民民主党の玉木代表は立憲民主党との連立の条件として、安全保障政策の一致を上げています。その理由は国民の生命を守ることに対して、一時の猶予も無い課題なので、この部分は決して譲れないと言うことだそうです。
確かに、国民の生命、生活を守ることは、政権が取り組むべき最重要課題であることは間違いないと思いますが、彼の考えている国民とは弱者や一般庶民も含めた国民全体なのでしょうか。と言うのも、昨日も高齢者が起こした自動車事故が立て続けに起こりました。一件は、ブレーキの代わりにアクセルを踏み続け暴走して、信号青で横断歩道を歩行していた人達を引いて、死傷者を出す大事故となりました。もう一件はブレーキとアクセルを踏み間違えて、建物に飛び込んで、中にいた人達を負傷させたものでした。
このブログでも数年にわたって何度も取り上げて来ましたように、高齢者の誤動作による事故は多発していますし、多くの何の罪も無い人達が継続的に死亡したり、負傷したりしています。なのに、何の効果的な対策も打てずに、今日に至っています。このままだと、同様な事故により、尊い国民の命がさらに失われることは避けようもない事実だと思います。
警察は、高齢者の免許返納を呼び掛けたり、高齢者の運転免許更新時に技能講習や認知機能テストを課すことで対策しているとしていますが、そんな悠長な方法では効果が限定的であるのは、これまで事故の多発を防げないことからも明白であります。もはや、警察のやれることでは、効果的な対策は難しいのです。政治の問題なのです。
私も提案しています、高齢者への安全装置付き車両使用の義務化を実施すれば、かなり効果はあると思います。しかし、それには車両の買い替えや安全装置の取り付けにかなりのお金が必要で、年金生活者の多い高齢者には大きい負荷となり、それに対し、公的に支援しなければ、普及は難しいとして、法制化が必要であっても、財源をどうするのかと言うことで、少しも話は進んでいません。
しかし、玉木氏が言われるように、国民の生命を守ることが喫緊の最重要課題と言うのであれば、ヤル気があれば何とか出来る筈です。一番確実なのは、議員の定数を削減したり、議員の報酬や手当を削減すれば百億単位のお金が出て来ます。本当に国民の生命を守りたいと考えているのであれば、自分達が身を切るべきだと思いませんか、玉木氏はじめ議員の皆様。特に、議員の報酬や手当を削減することは、議員の多数が賛成さえすれば、簡単に実行することが出来ます。
こうならないのは、玉木氏の考えている国民の生命を守るということは、他国の侵略から国民の生命、財産を守ることなのでしょう。もちろん、そのことは非常に重要だと思いますが、そうだからと言って、高齢者による事故の犠牲者、年間数十人から数百人の尊い命を見過ごしていいのでしょうか。このような現実的な課題解決にも対応出来ない人間が、非常に高度で難易度の高い対外的な安全保障問題などとても対応出来るとは思えません。
今の議員達にとって、守るべきは日本の今の体制派なのだと思います。大企業、富裕層(議員達も含まれる)が守られるのであれば、日本の体制(権力サイド)は維持されるからです。そのことに比べ、一般庶民の命など小さいものなのでしょう。
彼らの主張は、外国との関わりによる安全保障という大きな問題の前では、交通事故での死者の問題は小さいものであり、とるに足らないものなのでしょう。しかし、前者に比べ、後者は前述したような具体策で対策出来るのであれば、議員達の決断だけでやれる問題で、すぐに効果が出るのです。小の虫を殺して大の虫を生かすというのは、どちらかを選択すべきときの話であって、今回の問題は、どちらも並行して実行可能なので、そのことわざには当てはまりません。本気で国民の生命を守りたいと考えているのであれば、議員達は率先して自分自身の身を切ることを出来る人間である筈です。
本当に心ある議員であれば、何年間も目の前で罪も無い人々の命が失われ、多数の負傷者が出ていることを何とかしなければと考えるのが正常な人間の心だと思います。そして、効果的な対策にはちょっとしたアイディアとお金が必要な、その気になれば何とかなる問題なのです。こんなことも実行出来ない、実現できないような議員ばかりであれば、民主主義国家としての日本は衰退の道を進むばかりでしょう。