臨時国会が閉会しました。補正予算も成立しました。これらを受けて、高市首相が会見をしました。
その中で、物価高への対応を最優先に果敢に働いてきたと振り返り、強い経済、強い外交・安全保障の実現へ、一定の方向性を打ち出すことが出来た、と誇ったように述べていました。
高市首相の述べたことを個別に見て行きますと、最優先の物価高対策には約8.9兆円を手当てしたとし、夫婦と子供二人の家族で8万円の支援額となるそうで、また、ガソリン・軽油の値下げ、電気・ガス代支援、重点支援地方交付金などを盛り込んだとしました。しかし、緊急対策としても、国民の生活にどれだけのプラスになるでしょうか。ひとことで、言いますと、無いよりましのレベルでしかないのではないでしょうか。これだけ多くの税金を使うにしても、国民全体へのバラマキでは、ひとりひとりへの効果は低いでしょう。よく言われるように、本当に困っている所に厚く支援することが一番効果が高いと思われますが、支持率や選挙対策として考えてしまうと、対象が広くなってしまうのでしょう。支援すべき対象を、貧困層や中間層、中小企業と絞れば、これだけのお金でかなりのことが出来る筈です。併せて、大企業、超富裕層の社会貢献を促進することで、税金を増やすことも可能でしょう(年収30億円以上への増税はあるようですが、未だ収入に比べて大した額とは言えません)。
強い経済に対しては、科学技術力の強化を打ち出し、人工知能、半導体、バイオなどの17の戦略分野に、積極支援策を講じるようですが、これらは世界全体の大競争分野であり、そう簡単には勝ち切れる分野ではありません。これまでの日本の強みをしっかり分析し、それから考えられる、多分、競争の中心となる部分では無い、そこを支えるニッチな技術、材料などを選択し、強化することが必要だと思えます。もちろん、基礎研究は、将来の次なる新たな製品・サービスを生み出す技術となり得るので、長期的な取り組みを疎かにしてはいけませんが、既にある程度見えている短中期的な分野では、日本の差別化可能技術、製品に重点すべきと思います。先進的な他国と真面にぶつかるようなことでは勝算を見出すことは難しいでしょう。
強い外交・安全保障については、このブログでも何回かテーマにして来ましたように、強気の発言をすることを強い外交・安全保障と誤解されているとしたら、道を過つかもしれません。中国にしても、米国にしても、真面な理屈が通る相手ではありません。そういう相手に、正論をぶつけても事を荒立てるばかりです。この分野では、相当な戦略的な思考が必要だと思います。
細かいところを指摘すればキリがありませんが、高市首相が重点とされた部分を大まかに評価しますと、このようになります。
確かに、高市首相はこれまでの首相に比べても、ハードワークであることは判りますが、これだけやっているので、自分は正しい判断をしていると、どうも独善的で、つまり独りよがりの傾向が多いと思えます。今回の会見内容も、どうだこれだけやりましたと、自画自賛の話に聞こえました。残念ながら、どの課題も成果を誇れる段階ではありません。本来は、今後の推移を慎重に見極め、本当に成果が出たかどうかで、評価すべきです。結果はいずれ明確となるのですから、スタートしたばかりで、どんなにやりましたと言われても、空しくなります。政治家はどれだけ自分をアピール出来るかが、票につながると言う人もいますが、首相まで登り詰めた人はそんな自己アピールより、実(じつ)をとってもらいたいのです。