日本が太平洋戦争で無条件降伏した後、米国の報道カメラマンのジョー・オダネル氏が原爆投下された長崎に入り、壊滅した街、悲惨な人達の姿を多数写真に残しています。
そのときの彼の感情の動きを概説します。「この長崎の状況を見るまで、中国や朝鮮で蛮行を行った日本人に対して、大きな憎悪と嫌悪感を持っていましたが、長崎の惨状を目の当たりにして、これまでの憎しみも消えてしまいました。何の罪も無い、子供達や母親が悲惨な経験を負ったことを知り、原爆の投下は間違っていたのではと考えるようになりました。子供達を無差別に攻撃する戦争というものを起こしてはいけないと思うようになりました。」
彼は軍の命令に反し、個人のカメラで密かに被爆者達の惨状を多数撮影しましたが、米国へ帰国後、それらの写真は封印していました。約43年後、核兵器の恐怖を伝え、平和を訴えるとの決意から、この封印を解き、公開を開始しました。特に有名になった写真は、「焼き場に立つ少年」です。ある少年が、原爆投下で亡くなった幼い弟を背負い、火葬の順番を待っている姿が写されていました。必死に悲しみを堪えて直立不動の姿勢を崩さずにいる姿は、見る人の心を大きく揺さぶるものでした。これらの写真を世界各国で公開し、その経験を講演することで、核兵器廃絶、世界平和を訴え続けたのでした。
本当に人間の心を持ったものが、戦争の非人間的で悲惨な現実を知れば、オダネル氏と同じような気持ちになると思います。戦争などと言う手段を選ぶことは、絶対避けなければならないと確信すると思います。しかし、今の世界の指導者、権力者は違います。自分達のメリットの為には、軍事力を使うことを躊躇しないものが多く存在するのです。本来、真っ当な国という組織であれば、極力軍事力を使わないようにするべきであるのに、平和に生活を送っている所に軍事侵略したり、国民の経済的な困窮問題を覆い隠す為に、武力を使ったりすることがあちこちで起きています。
世界の中の指導者であるのなら、子供達やその母親達を守る使命がある筈だと思います。それなのに、そのような無垢な子供達にさえ、爆弾、ミサイルや銃を向けることを厭わないとは本当になげかわしい限りです。
そこまででなくとも、今、軍事増強に走っている世界の指導者達は、軍事力で解決しようとすることの本質を判っているのでしょうか。どの指導者も、自国の安全保障の為には、軍事力を増強するしかないと言い合っていますが、みんながそんなに自国の安全保障が大切であるなら、世界全体で平和条約を結べばいいのです。どこにも軍事的に攻めこまないというような。そして、それに抵抗する指導者を炙り出し、そこに対して、一致団結し、対峙するのです。多くの人々を率いる指導者であるのなら、そのようなところに努力を惜しんではいけません。そのような外交は大変難しい高度な仕事ですが、それを避けないでやれる人間が真のリーダーだと思います。
やはり、それが出来ないのは、本音レベルでは、軍事力で侵略したり、統制したりしたいと考えている指導者が現実に少なからず存在し、その存在に怯えているからなのです。好戦的な指導者を支持する国民も多く存在するのが現実ですが、今、ここで、オダネル氏の写真のような戦争の記録を直視し、本当に、自分達や家族、友人の為に、どうするのかが人間にとって最良の道かを、広い視野で冷静に考えてもらいたいと思います。
「戦争は結局は貴方を含む全ての人間に災いを招くものである」と言う真理を知るべきです。