年金の改正が、いろいろと行われつつあります。公式な目的は、例えば、2025年度に改正された遺族年金制度改正では、男女間の格差を是正し、共働き社会に対応する為となっています。また今国会で成立する厚生年金基金を活用して基礎年金を上げることについては、氷河期世代の年金目減りを是正する為としています。

 大義名分だけ見ると、もっともそうですが、政府、財務省にとって、年金財政を立て直すとは聞こえ良いですが、否、国民の不信感を何とか誤魔化そうとするのが真の狙いだと思います。

 少子化が進み、現役世代と年金受給世代のバランスが崩れて来ているのですから、今のままでは、年金は破綻してしまいかねないという大きなリスクを抱えているわけです。しかし、そのような問題は既に30年も前から予想されていたのですが、残念ながら効果的な方策を打てずにずるずる今日まで来たというのが正直なところでしょう。しかし、そのリスクが目前に迫って来て、さすがに何もしないことは許されないとなって、前述したような小手先の政策が出て来たのです。

 抜本的な解決策を打ち出すには、大幅な年金制度の改革は避けられないのですが、それで、全ての国民にプラスとなるような案は不可能であると思います。一般国民にとって、最も利があるのは、税金をさらに投入することだと思いますが、これ以上、国債を発行する訳にはいかないと反論されるでしょう。しかし、防衛費を何十兆円も増額することが可能であるのなら、その何分の一でも、年金に回すことは可能だと思えませんか。

 いずれにせよ、年金改革をまともに進めて来なかったツケは誰かが払わなければならないのです。もし、国民に払わせようとするのであれば、まずは、その責任の重さを鑑みても、国会議員達が身を切らなければ、国民は協力しようとはならないでしょう。

 そもそも、国会議員の年金は、かけた保険料に対して多額の支給があり、ほとんどが税金から賄われているのです。地方議員でも、半分程は税金で賄われているのです。このことに目をつぶって、国民の年金を国民の努力、痛みだけでなんとかしようとするのは、非常に自己中心的だと思いませんか。

 国民の年金制度を改正したいと言うのなら、まずは自分達の年金制度を是正すべきだと思います。まずは、自分達から痛みを受けるべきなのです。
自分達だけは多額の年金を貰って、悠々自適な老後を送ろうなんて、そんな根性の人間達に、国民にとって利の有る年金制度を作り上げることなど出来る訳はありません。