ウクライナ、ロシア紛争の停戦交渉が新たな局面に入っていくような動向です。米国トランプ大統領とロシアプーチン大統領の会談がもたれました。あまり明確なことが決まった訳では無いように思いましたが、次のトランプ大統領とウクライナゼレンスキー大統領の会談で、ロシアの意向が伝えられると思います。
いずれにせよ、ロシアの条件をウクライナが飲むことは簡単ではないでしょう。
ロシア、ウクライナ、米国それぞれの思惑が複雑に交差していくのではないでしょうか。私は、交渉の中身がどうかと言うよりも、どうして、このままこの戦争を続けられるかが不思議で仕方ないのです。両国とも、日に日に死傷者が増え、経済的負担も多大なものになっているのに、何の為に、戦争を続けないといけないのでしょうか。もちろん、ロシアはプーチン大統領がこの侵略を正当化させる為にも、ある一定の成果が必要だと考えているでしょうし、ゼレンスキー大統領も、侵略されて、そのまま国土の一部を略奪される訳にはいかないと考えていると思います。しかし、その両者の考えがどうしても譲れないとしたら、妥結出来る落し所は永遠に見つからないと思います。そうであれば、これからもウクライナ国土の破壊が続き、両国の国民の命が奪われ続けるのです。
私は国というもの、愛国心というものに対して懐疑的です。問題は、その場所に住んでいる国民が幸せに暮らせるような環境を作る為に、便宜的に国境を設ける方が効率的に管理出来るから、国境を設けているだけだと思っています。
国土を守る為に戦うのではなくて、国民の命を守る為に戦うべきなのです。そういう意味では、ロシアの最初の目的が、ウクライナの東部に住む親ロシアの住民を助ける為に、軍事行動を起こしたということでした。しかし、停戦交渉の中身を見ますと、ウクライナ東部を奪いたいと言うのが本音の主張であると見えて来ます。多分、その先には、ウクライナ全土を奪いたいと考えているのでしょう。そして、第二次世界大戦のときのように、西側諸国との戦争がもし起こったときには、このウクライナの土地を緩衝地帯として、利用したいのでしょう。
一方、ウクライナは西側諸国の一員になり、ロシアの侵略を難しくすることが狙いなのでしょう。しかし、残念ながら、全てのウクライナ国民がそう願ってはいない、つまり、ソ連のときのように、ロシアの一員になりたいと考えている人達がある程度の数存在することが、ロシアに付け込まれる要因となっているので、ことはここまで紛糾してしまったのでしょう。
もちろん、そのような状況であっても、ロシアが軍事行動を選んだことが、一番問題ではあるのですが、事ここに至っては、こじつけではあったにせよロシアに大義名分があるので、簡単に解決出来ることにはならないのです。
国と国との紛争は、事程左様に、お互いが自分達に都合のいい主張を繰り返すので、結局、力で片を付けることになってしまうのです。
そのような両国を停戦に持ち込むには、両国の国民が毎日毎日、多数亡くなっていることに注目しないといけないと思います。ロシア国民が自分の家族や友人などが戦地で死んでいくことに対して、ノーを叫ぶことが必要なのです。そのような世論が大きくなれば、停戦をせざるを得ないと思います。残念ながら、ロシア政府が、情報統制や西側憎きというプロパガンダに成功しているのでしょうか、そのような動きが封じられています。それであれば、国民の生活を大きく苦しめるような経済政策、トランプ大統領の切り札だと思いますが、ロシアの生命線である石油やガスの供給を受けている国々への経済政策を実現させれば、一気に外貨を稼げなくなり、経済的に疲弊し、そのときは国民の目は覚めるでしょう。
今回の会談で、トランプ大統領がその札を切らなかったので、ロシアとしては大いに助かったことでしょう。
話を戻しますと、上記のような方法で、停戦止む無しと考えさせられれば、次は落し所です。
ウクライナで、国全体が、西側につくか、ロシア側につくかまとまらなければ、分割は避けられないような気がします。国というものを最重要に考える人間であれば、それは非常に辛いことではありますが、私は、国という単位は、政策や住民サービスを効率的、効果的にする為の単なる括りと割り切るべきで、国自身を愛するというような愛国心などと言うものは権力者が国民を動かす為に使う道具でしかないと思うのです。もちろん、住んでいる土地に愛着があるのは分かりますが、大事な人達の命を守れるのであれば、新天地でやり直す方がいいと思います。多くの人達がウクライナ、ロシアから脱出している現状を考えてください。ということで、親西側、新ロシアとして、国土を分け、それぞれの側の人達がそれぞれの国に落ち着き、それぞれの政府が、西側、ロシア側と親密に関わっていけばいいのです。細かいところで問題となるのは、家族や親戚や友人同士でも、選択を分かつ場合があり、その場合の交流について、どう担保するかは考えないといけないでしょう。
もちろん、このような落とし所には諸手を挙げて喜べるものではありませんが、ロシア国民も、ウクライナ国民も、これから自分達自身はおろか、家族、友人の命が危うくなることを考えれば、妥協することは必要だと思います。
また、命をかけて戦っている人達からすれば、傍観者に決められたくないと思うでしょうが、人間性が著しく毀損される戦争は、一刻も早く終わらなければならないのです。特に、大人達の偏った考え方で子供達をこれ以上犠牲にしてはならないと強く思うのです。