NHKの番組で、日本人の気質は縄文時代の火山の大噴火が影響しているのではとの説を述べていました。そのときの大噴火は日本の国土のかなりの部分に灰を降らせ、当時の人間の生活を一変させました。このような天変地異にかかっては、人間はひとたまりも無く、火山の周辺では、生物は壊滅状態になってしまい、少し離れた地域では、灰が積もることにより、食料確保を困難としてしまいました。それでも、縄文時代の人間の一部は生き残ったのです。その生き残りの鍵が、日本人の遺伝子の中に観測されたのでした。日本人の30%に協調的な性格を示す遺伝子が見られ、また大部分の日本人には忍耐強い性格を付与する遺伝子が観測されたのでした。
つまり、大災害の惨状の中で生き残るには周りの人間と協調して、困難に立ち向かい、耐えることが出来る人間が生き残ったのです。日本人気質はこのようなことで形成されていったということでした。
しかし、この生き残り戦略は我々が考える程には単純ではありません。
その例としては、もともと縄文時代の社会は比較的平等な社会であったようですが、このような大災害を経験して、人々は、自然への畏敬、分かり易く言えば、火山噴火や大地震などのような大災害には、人間の出来ることを尽くすだけでは不充分であると認識し、神のような存在に頼るようになり、その結果、スピリチュアルな能力を持った人間を奉り、その意思に従うようになり、つまり、指導的立場の人間が現れて来たのです。その延長線上で、ある意味階級社会へと変貌して行ったようです。
人間の進化の歴史において、協調的な側面は重要であったのですが、一方、多くの人間を従わせる権力者が出て来るようにもなったのです。また、その構図を利用し、力で権力者となる者も頭角を現わして来たのです。
もしも協調性の高い人間だけが増えていけば、この世界から争いは無くなると思えますが、残念ながら自然の摂理はそれを求めていません。自然は常に変化を求めているのです。人間が望む望まないに関わらず、その変化の中に、人間には考え及ばないような大きな進歩が生まれて行くということも事実なのです。それが自然の望むことなのです。
その証拠として、環境に対応している遺伝子が残る一方、その遺伝子に変化を与える突然変異という変化が常に起こるようになっています。そして、突然変異は先に獲得した環境に適応する性質を強めるということではなく、アットランダムに変化するのです。つまり、自然は人間に都合良い変化だけで無く、あらゆる可能性を示すことの出来るような変化を望んでいるのです。それは人智の及ばない変化にも、生物が対応することを、自然が目論んでいるのかもしれません。
この真理をよく理解した上で、我々人間にとっての理想の社会を築いていかなければなりません。変化を起こすとは、良い変化ばかりではなく、一般の人間にとって悪いこともありますが、悪い変化である、人間を殺したり、利己的、独善的な行為をするものも生み出してしまうのが、自然界の中の人間の世界なのです。残念ながら、自然は善悪を区別出来ないのです。だからこそ、我々人間自身で、善悪をコントロールする仕組みを作ってやらなければ、悪が蔓延ることになってしまうのです。