ウィルスの生体内への侵入や遺伝子変異による新たな機能の獲得が、進化に関わっていることが明らかになって来ています。同じように、癌の正体についても、いろいろと判って来たことがあります。癌になる遺伝子配列は、人間の細胞が一個の受精卵から細胞分裂して行く過程で、突然変異によって生まれて来ます。これは、受精後間もなくの時期から生じることもあり、最終的には40兆個の細胞で形づけられた人体になる訳ですが、それくらい多くの細胞ですので、遺伝子の複写において、ミスが起きることは確率的には当たり前のように起きているのです。癌遺伝子が生まれたと言って直ぐに癌細胞が発生する訳ではなく、癌遺伝子を保持しつつ、正常な細胞として振る舞っている状態も長く続くこともあります。また、細胞が癌化されたとしても、免疫系により、退治されることも多くあり、人体の機能に支障を来たすほどの成長をするには、長い時間の内に、免疫防御システムを破る必要があります。と言う事ですので、免疫システムの機能が低下したり、いろいろな発癌物質に助けられたりして条件が整ったときに、癌化が促進されて行くのです。
最近の癌研究で、いろいろなことが判って来ました。癌細胞は周りの正常細胞を自分の味方として振る舞うように利用したりします。それにより、癌細胞への栄養、エネルギーの供給が上手く行くようになったりもします。反対に、癌細胞へのエネルギー供給を邪魔するようにすれば、癌の成長を食い止めたりすることも出来るようです。そのことで有効な手段が、有酸素運動であります。ある程度の頻度で有酸素運動を続けていますと、筋肉への栄養、エネルギーの取り込みが優先され、癌細胞への供給が減少して、癌細胞の成長を邪魔することになるのです。
このような複雑な癌に関するメカニズムを見ていますと、まるで人間社会を思い起こさせるような気がします。細胞を一人の人間として、正常細胞はAEタイプやWEタイプの人間(3. 非常におおまかだが、本質的なひとの分類の項を参照してください)であると考えます。DEタイプの人間が癌細胞です。DEタイプの人間はある一定数生まれて来ます。社会が平和で秩序が保たれている状況では、DEタイプはなかなか本性を現わすことは出来ません。悪事を働こうとしても、社会のルールや防犯システムが機能しているので、直ぐに逮捕されるので、正体を見せないように出来るだけ深い闇の部分に潜んでいることが多いのです。しかし、社会に貧困が蔓延したり、紛争が頻発したりするようになりますと、DEタイプが周りの正常であったWEタイプを引き込んで、悪の手先として利用し、悪事が拡大していくのです。
逆に、周りのWEタイプが秩序を持って生活していると、DEタイプに人、物、金の供給が無くなり、DEタイプは大人しくしていなければならなくなるのです。WEタイプが秩序を持って生活する為には、WEタイプに人、物、金が行き渡ることが必要です。
我々の目指す社会はそのような状態です。つまり、WEタイプの人が平穏で日々の生活に困ることの無いような豊かさを享受出来ている社会であれば、それが実現出来るのです。
長い歴史を見ても、悪の芽はあらゆる所に存在します。その芽を成長させないようにするには、人が人間性を意識し生きて行ける環境が必要なのです。多くの人間は、生活に困ったり、生き甲斐を追求することが出来なくなったりすると、自分自身のことしか考えられなくなり、簡単に悪の誘惑に負けてしまいます。
今の世界でも、あちこちで戦乱や貧困が蔓延していて、人間としての尊厳が失われ、そしてその状況を利用して、独裁者や富を独占しようとする強欲な人間が蔓延ってしまうのです。このような状況が続けば、益々戦乱や貧困が拡大し、結局、世界を破壊する方向に社会が動いて行くのです。そうなれば、結局は、正義も悪も含めすべての人間が不幸になる惑星となってしまうのです。
そうならない為に、すべての人間は自分だけの欲望を追い求めるのではなく、多くの人間が幸福を追求出来るような平穏で秩序ある社会を目指すことが唯一の救いの道だということに気付かなければならないのです。