骨太の方針2026が発表されました。高市首相が常々叫んでいました「責任ある積極財政」へ転換させる為の方針が出されました。AI、半導体、防衛、次世代エネルギーなど17の戦略分野を指定して、2040年度までに370兆円を超える官民投資を目指す、と言うような内容でした。

 確かに、国を発展される為に、どこに重点的に注力するかと言うような、ビジョンを描くことは重要であると思います。しかし、私は、以下のような点で疑念を感じています。

 ひとつは、足元の経済対策が遅々として進んでいないで、その結果、国民の生活に明るい兆しが感じられないこの現状を差し置いて、いくら未来の夢を語るだけでは、片手落ちであると言えます。もしかしたら、この状況で国民の不満も増幅されていて、高市政権への支持率も急降下していることに危機感を持った故に、国民の目くらましとして、バラ色の話を出して来たのではとも考えられます。

 次に、じゃあ、その未来像が実現可能かと言えば、その根拠も軽薄であるとしか思えません。確かに、狙おうとしている成長分野は、今後益々発展することは間違いないと思われますが、そのような分野なので、各国も相当な力を入れている中で、どのように勝ち抜くのか、大きな額の金を投資するというだけでは、あまりに具体性が乏しいと思います。一部には、現在でも日本が強い、アニメ、ゲームなどのコンテンツ分野もありますが、大半は他国が先行している分野であり、その中で、生き残る為には、金以外に、相当な戦略、戦術的な方策が必要なのは言うまでもありません。

 この二点を合わせて考えますと、足元の失策とは違い、遠い未来のことなら、どんなに大風呂敷を拡げようと、すぐに結果が出る訳でもなく、そうだから、国民に対して、いくらでも心地良い言葉を聞かせることが出来、それで、いくらかは誤魔化せると踏んだと思います。

 骨太の方針と言われるようになったのは、小泉政権以来25年くらい経っていますが、そのときどきの骨太の方針の成果を検証してみれば、どれだけ言いっ放しで終わったか、分かると思います。高市首相は、今回の骨太の方針は違うと言いたいようですが、違うところは財政状況に縛られずに、積極的に投資するという点だけです。どこにどれだけ投資するかというのは戦略の肝ではありますが、その金を各々の分野でどう効果的に使うか、差別化をどう図るかという部分がきちんと伴わないと、また税金をドブに捨てることになりかねません。

 官僚や有名なコンサルタント達は、ここまでの絵を描くのは得意ですが、計画を実行するには、彼らとは別に相当な人材が必要だと思います。人材だって、金さえ積めば集められるというのが、彼らの主張ですが、残念ながら、金だけで集まる人材では、大きなブレークスルーは期待出来ません。その分野での専門性はもちろん、卓越した目の付け方、分析力、解析力、創造力が必要であり、そしてなにより、そのタスクを成功させようと言う強い執念がある人間でないと為し得ないのです。政府から押し付けられて、金を使うだけのエセ事業家やエセ開発者を太らすだけに終わってはいけないのです。

 日本が現在、世界の中で、大きなシェアを占めている、エレクトロニクス用材料、部品、製造機械、検査機器などは、私企業とその中で奮闘した人間達がいたから為されたものであり、けっして政府の押し付けから生まれたのではないことを噛み締めて欲しいと思います。

 この点を良く解析して、政府としては、どのようなことをすれば、成長分野で生き残る事業、技術を創れるのかと考えることが重要なのです。

 今の政権は、そのような実益的な考え方を排除して、その場限りの大きな夢を拡げて、国民の目を惑わすことの方が重要だと思っているのでしょう。

 

投稿者

弱虫語り部

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