熊本にまたもや大地震が起こりました。阪神大震災や東日本大震災のような、多数の死者は出てはいませんが、ニュースで惨状を見ますと、自然のあまりにも強大な力に我々人類はある意味為すすべを失っているとも言えるような気がします。これだけ、何度も大地震を経験し、科学技術が進歩したと言っても、今回のような悲劇を防ぐことは出来ないのが現実なのです。
但し、地震防災に携わって来た、政治、行政、学府がどれだけ機能しているのかは疑問に思います。もう少し、やり方があるのではと感じてしまいます。
今回地震のあった熊本の地震は活断層地震と呼ばれるもので、10年前にも同様の地震が起こっていますが、そのときは日奈久断層帯、布田川断層帯が連動して起こったもので、今回の地震はその日奈久断層帯の南部が割れて起こったようです。専門家によりますと、10年前には日奈久断層帯北部が割れたのですが、南部は割れていないで、この部分に地震が拡がることが当時から懸念されていたそうです。しかし、反対に、ひずみは解消されたとして、大きな地震を起こす可能性が低いと主張していた学者もいたようです。そのようなことで、せっかく大地震のリスクを想定しながら、あまり有効な手を打てなかったことが残念です。
問題点のひとつは、このようにいろいろな説を唱える学者がいて、どれが正しいのか判断し難いことです。このようないろいろな専門家の判断をベースにしてでも、リスクマネージメントを駆使するのが行政サイドとなるのですが、残念ながら、リスクマネージメントに長けた政治家や役人がいないことが大きな問題だと思います。いろいろな説があるとしても、そうだからと言って、手をこまねいていたり、大して手を打たなければ、いつまで経っても悲劇は繰り返される訳です。
リスクマネージメントの基本は、起こるべきリスクの発生確率ともし起こったとしたときの被害の大きさから、どこにどのような手を打つかを決めなければならないのですが、それを誰が責任持って実行して来たのか、甚だ疑問です。政府も地方自治体に判断を委ねていて、責任逃れしか考えて来なかったことが想像出来ます。政府や自治体も専門家の判断を読み解く力が少なく、その責任を放棄してしまう傾向があると思います。地震はたぶん起こらないだろうというような短絡的な判断ではなく、もしも地震が起きれば、どのような所で、どのような被害が出るかを予測し、その予測に従って、対策をとっておくべきだと思います。
政府や行政機関は目の前に見えている被災地の復興には、充分とは言えないまでも、いろいろな対策を講じていたと思いますし、今回もそうするでしょう。もちろん、被災地が普段の生活を取り戻せるようにすることは重要ではありますが、その復興策も将来のリスクを考えないでやっては、非効率になったり、無駄になったりすることもあります。
この際、10年間という短期間に同一地域で起こったこの地震をきちんと検証して、どのようにすれば、リスクマネージメントとして正しい判断であったかを明らかにすべきと思います。
残念ながら、これまでは、対処療法しかして来なかったので、リスクマネージメントとしての進歩を積み上げることが出来なかったのだと、反省し、喉元過ぎれば熱さを忘れるでは無く、この大災害を風化させることが無いように努めて欲しいのです。
例を上げますと、せめて、活断層の全国的なマップは整備されているのですから、活断層周辺における対応策くらいは知恵を絞って、具体化して欲しいものです。南海トラフ地震の想定被害などは出ていますが、それで国民に注意を促すだけに留まらずに、政府、行政として、最高のリスクマネージメントを施して欲しいものです。国旗損壊罪のような、国民の生活を守るというより、権力者の自己満足のような法案立法に労力を割くより、もっと重要な事があると思います。そういう観点で見ると、皇室典範改正や副首都法案立法も、論点がはっきりして来ると思います。誰か一部の人間のこだわりなどという雑音を、本当に国民の為だという観点に立ち、排除しなくてはならないのです。そのような法を作れば、どんな将来があるのかを見通す努力をしなくては、本当に国民の為になる法律など作れる訳はありません。
前回のブログでテーマにしました「骨太の方針」のような将来ビジョンにしても、単に夢を語ることに終わらないようにするには、同じように、リスクマネージメントを踏まえた上で、実現可能性をどう高めるかの具体策を明示することが、非常に重要なのです。
残念ながら、今の政治家にそのような能力があるかは甚だ疑わしいと言わざるを得ません。