毎年、終戦記念日の近くでは、戦争にまつわる話がテレビで放送されます。どれも、戦争の愚かさを訴える内容です。戦争に向かうとき、そして戦争の間、どれだけ理不尽なことが蔓延したかが良く分かります。また、戦闘そのものや、その中で、兵士達や巻き込まれた民間人が受けたあまりにも悲惨な光景が映し出されて行きます。

 このような映像を見れば、戦争を肯定する人はいないと思います。しかし、現実は世界のあちこちで戦争が続いています。日本だって、いつ何どき戦争に巻き込まれるか分からないほどの国際情勢の中にいます。その中で、政府は軍事費用を大幅に増加させています。建前は防衛の為であるとしていますが、防衛の解釈が拡大されていて、他国への攻撃が可能な武器をも保有するようになっています。いつの頃からでしょうか、自民党政権は、軍事費を大幅に増やすことを強く進めているのです。防衛力が他国からの侵略への抑止力になるということが、彼らの理屈です。しかし、裏では別な思惑が潜んでいると思います。多分、戦後、米国は、日本が二度と戦争を起こさないようにと、日本の軍事力を否定する代わりに日米安保条約で、米国の後ろ盾で、抑止力としていたのですが、米国の考え方も変化して来て、自分の国は自分で守らないとやっていけなくなると言う考え方が今の軍事力大幅強化につながっているのでしょう。以前のように、米国は世界の警察機能であるとしたような時代であれば、日本を守る代わりに、日本の領域に多くの米国の軍事施設を構えることは意味があったのでしょうが、中国が台頭して来て、石油利権に絡む中東地区の治安も維持し難くなって来たり、ロシアが周辺への侵略を企てて来るような時代に、とても、今の米国の多大な軍事力でも賄いきれないことになっているのは目に見えています。

 そうだからと言って、日本として単純に軍事力を増やすことが本当に平和維持につながるのでしょうか。歴史を紐解いて行きますと、そう単純ではないことが分かります。太平洋戦争では、日本が何倍もの軍事力のある米国を真珠湾で攻撃して戦争を仕掛けていました。この例でも、戦争というものは、一部の権力側の人間達の意志で始まってしまうものなのです。だから、軍事力増強はある一定の抑止力にはなるが、絶対的なものではないと理解しなくてはなりません。

 ある程度の軍事力はある一定の抑止力の為と、国境保安や一時的な攻撃の被害を最少にする為には必要だと思いますが、その程度で、それ以上は無駄に終わるように思います。そういう意味で、永世中立国を宣言していますスイスが最適なバランスを持っているのではないでしょうか。そのバランスとは、軍隊は保有していますが、永世中立国として、どことも敵対しないし、共闘もしないということ、最も重要なのは、スイスの国土を破壊することは、どの国にとっても、デメリットとなるということです。スイスは観光資源や精密機器のブランドだけではありません。金融機能として、世界中の権力者、富裕層を支えているからです。

 今すぐに日本が中立宣言しても駄目だと思いますが、まずは、日本の国土を荒らすことは大きな損害であるというような国にすることにもっと力を入れることは出来ると思います。それは国際的に認められる独自文化をさらに前進させることです。そして、経済の分野では、競争の激しい花形な産業を狙うのではなく、それらの産業を支えてはいても、ニッチで特殊な産業を重点的に強化していくことだと思います。例えば、AIなどでも使われています先端回路そのものではなく、そこに使われていて、欠かすことが出来ない、特殊材料、部品、製造装置のような日本が大きなシェアを占めているような分野がお手本になると思います。そして、それの生産拠点は海外展開しないで、国内に設置していることが重要です。併せて、開発拠点も国内にあるべきです。

 そのようなことが、軍事力そのものよりも、日本を破壊してはいけないと言う大きな抑止力になるのです。そして、そのような国の文化、特徴を武器に、多くの国と外交的な対話を継続させることが大切です。こちらの地道な努力こそ、対立構造を緩和する鍵であるのです。

 戦争はひとたび起こってしまえば、多くの人間に多大な災難を及ぼし、終結するのに多大な労力と犠牲が必要となるのです。

 今の日本政府のように、軍事力を背景に、敵対する国には一歩も引かないというようなスタンスでは、防衛どころか、本当に戦争を呼び起こしてしまうのです。

投稿者

弱虫語り部

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